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現場での伝言ゲーム、
効率の悪いシステム、
そして悪意のあるスタッフに困っていませんか?


どうやったらこのブラックで情報過多な医療現場をうまく立ち回れるか今日はちょっと考えてみました。

つまり”情報の扱い方”ですね、軍事用語ではinteligenceといいます。

http://blogs.bizmakoto.jp/kaimai_mizuhiro/entry/4654.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9

先日ちょうど習志野空挺団出身の先生からインテリジェンスの講義を受けてきたのです。そうですね。ようは元?スパイの先生から”情報”をどう扱うか=inteligenceという講義を受けたのです。

*第1空挺団:通称習志野空挺団、陸上自衛隊エリート中のエリートですね。。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC1%E7%A9%BA%E6%8C%BA%E5%9B%A3_%28%E9%99%B8%E4%B8%8A%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%29

military inteligenceの基本原則

1、「情報の要求」→
2、「情報資料の収集」→
3、「情報資料の処理」→
4、「情報の使用」
5、以上リフレーン


これが全てであり、必須原則なんだそうです。
”1つの項目につきたくさんの事例をいくらでも話すことができるがこれが骨子である。”

とのことでした。

お話をお聞きして医療でも相同性があるのだなと思いましたので紹介します。
医師という現場指揮官である私もinteligenceについてたくさん話すコンテンツがあるんだということに気がついたのです。
(もちろん、院長、部長、医長、医員、後期研修医、研修医と医師の中のランクによっても見え方は異なると思いますが、、)

1、情報の要求

情報の要求ですが、概念が最初から難しいですが、多分言わんと欲するところは、

・何が本当に必要な情報か正しく判断しないと必要な情報は手に入りません。
・必要な情報を入手する項目+手段で計画を立てないと情報は入手できません。


ということで、そして重要なのは、

・戦術目標を設定し、それを解決するための作戦遂行について必要な情報を計画し、
それを元に行動計画を立案すること だと思います。

あくまで戦術目標に沿って作戦計画を立案するのが、この項目”情報の要求”の目標です。


戦術目標設定後に、必要な情報が何か判断し、情報を入手する計画を立て、
必要な情報を入手し、それを鑑みて戦術目標にあった戦術計画を決定する必要があります。

ということで、この部分には

1、情報収集計画含めた
2、戦術計画
という
2つの要素が含まれます。

どこまでをこの項目に含めるかは”情報の要求”の定義によると思うのですが、私は2つとも入れてしまいました。

厳密には2つは軍事的には異なるのだと思います。
作戦全体を担当する司令官の立場と、情報入手計画を担当する情報担当官の立場は、、、

階層によって入手できる情報や判断可能なイニシアジブに制約があり、全体を見渡すことはなかなか難しいのかも知れませんね。


医療の現場では戦術目標については特に言及がなく、
作戦計画のみに言及されうることが多いのかもしれませんが、
医療ではやはり戦術目標がとても重要なので、
情報の要求には戦術目標と戦術計画を含めたいと思います。
(ゴールも共有できることがチーム医療なのだと個人的に思っています。)

戦術目標ですが、医療では患者の治癒というのが目標になったりするわけですが、
スタッフ全体での戦術目標や戦術計画が異なっていると、必要な情報を入手できず作戦に失敗することもあります。
(医療現場には患者の治癒ではなく、自分の研究が戦術目標だったり、病院内での地位安泰が戦術目標の人もいらっしゃいますのでスタッフ間で相容れない場合もあり注意が必要ですね。)


Ex1 (情報の要求での失敗実例) 

もともと車椅子レベルの高齢者の大腿骨頚部骨折の治療において、
ただ術者が人工骨頭置換術を施行したかったので、
後方アプローチによるBHA(人工骨頭置換術)を選択しました。

結果、術後に脱臼に繰り替えし悩まされることになります。

Ex1の解説
整形外科において骨折治癒は時に最終目標ではありません。整形外科分野では多くの場合ADL(日常生活動作)の改善が戦術目標になるので、戦術目標を間違えたり、情報収集内容の計画を間違うと、時に治療に失敗します。

このケースでは
・もともと車椅子レベルの人には手術してもADL(日常生活動作)は上がらないこと。
>この患者さんへ人工関節という選択肢の妥当性はあるのか?手術を失敗したら脱臼を繰りかえし、ADL低下を引き起こすことになりうることは常識であります。
・車椅子のように股関節が屈曲している人は後方手術では容易に脱臼することを知っているかどうか。
>人工関節にて不利益を被る可能性の知識の欠如、欠落。
・ADL(日常生活動作)の向上目標を設定せず、情報も入手もしなかった。
>人工関節にて不利益を被る可能性を評価する知識の欠如、欠落。
・手術の失敗。
>これは技術的問題も含まれうるのでどうしてかは判断しかねますね。

以上のことが失敗の原因と考えられます。

 つまり戦術目標の見誤りと見識のなさと情報収集計画の失敗による治療の失敗の可能性があります。
(もちろん単に手術技術的な失敗かもしれませんが、、)
 しかしながら当の本人は戦術目標(手術件数)が達成されたので問題だと思っていない場合もあります。つまりこの場合は職業倫理の欠如という新たな戦術目標エラーが追加されます。
(こんなこと書くと整形外科の先生に嫌われそうですね。(泣)どうして頚部骨折でBHAでダメなんだ!教科書的に問題ないんじゃないかと。。おっしゃるとおりかもですがしっかり手術はしてくださいね。。)

2、情報収集
情報収集に失敗すると、情報は入手できません。
収集が失敗した可能性も考慮に入れておく必要があります。
情報が間違っていた場合の戦術も立てておく必要があります。

Ex2(情報の収集での失敗実例)

・必要な検査項目の見落とし、AMI(急性心筋梗塞)を疑うのにTropT(トロポニンT:心筋逸脱酵素計測キットのことで15分で結果が出ます。)を忘れる。とか尿検と間違うとか。
・検査の失敗、見逃し、たとえば内視鏡やエコー。技術的な側面含めて。

3、情報処理
情報を入手していても見落としたり、
解釈を間違って処理を間違うと、
情報を入手しても判断に生かせません。

情報をうまく解釈できなかった時のケースを考慮に入れ、
異なる場合の戦術を立てておく必要があります。

Ex(情報処理での失敗実例)

・病理データを鵜呑みにする。
>病理診断の間違いも考慮に入れておく必要がある。
・LDH(乳酸脱水素酵素)の上昇を、内臓の影響だけを考慮して骨転移を見逃す。
>医学の基本知識の欠如や度忘れが思わぬ落とし穴に。
・骨のMRI所見にてT1LT2Hの解釈で、感染、骨折、腫瘍を見分け間違う。
>DDx(鑑別診断)は時にDDxのままで保持しておくことも重要です。

4、情報の使用

情報の使用を有効活用しないと、せっかくの情報が無駄になってしまいます。例えば誰にどんな情報を与えるとどう仕事が動くかどうかを知っておくことなどは大変重要です。A先生は、緊急手術には来たくないので、いつも必要ないという方針を採るだろう。B先生は来たくなくても必要であれば必ず来てくれるだろう。こういう普段からの情報が大切になります。

Ex(情報の処理での失敗実例)
・病棟スタッフから主治医の伝え方がうまくいかず必要な処置への誘導にならなかった。
>指揮権を持つ人間が判断を誤ると指揮権が発動されません。主治医でない先生に連絡することも時に必要です。
・緊急手術が必要であったのだが、手術権限のイニシアジブのあるスタッフに情報がうまく届かず治療行動に結びつかなかった。
>指揮権を持つ人間選定に間違うと、指揮権が発動されません。
・緊急手術をしようと思ったが麻酔科への連絡がうまくいかず、麻酔科に拒否され緊急手術につなげられなかった。
>計画立案段階で麻酔科への周到なコンサルテーションが重要だったりします。。これは計画立案のミスでもあるかもしれませんね。

補足説明

 インテリジェンスはドクター分野だけではなく、ナースの分野でもとても重要になると思います。治療計画を立てて、情報収集を実際に計画するのはドクター、実際に情報収集するのはたいていの場合ナースですからね。(もちろん線路をある程度引けるナースは優秀だと思っています。)そして研修医も中間情報管理者としてとても重要な役割を担っています。
 もちろん、医師の中でも、院長、部長、医長、医員、レジデントとそれぞれの立場によって見える戦術、戦略、みえない戦術、戦略が異なりますし、ドクターのみならず、医療スタッフ全体異なるはずですので、1-5までの過程の”inteligence”をスタッフみんなで吟味していく必要がありますね!!

今後ともよろしくお願いしますね!
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*戦術と戦略の違いについてはまた別の項目でより深く深く考慮したいと思います。