整形外科的まとめBlog

整形外科専門医が監修しているBlogです。初期研修や整形外科についての話題を医療、法律、ネット文化を幅広く取り扱います。専門医試験対策はアップデートされますので過去ログ参照してください。

痛み・しびれ

調べたら下肢痛(いわゆる座骨神経痛)も初診で80%くらい治してました。

 自分のデータせっせこまとめてるんですが、いわゆる座骨神経痛の様な下肢痛ですよね。
膝の痛みも鷲足炎とかだとわりと治せるのですが、あんまり成功率高く無いですね。やっぱり半月板やらOAが入ってますから、手技療法は全能ではありません。
ただ、座骨神経痛みたいな症状の痛みは、80%くらいで初療で治せる感じになってます。

 腰痛ほど下肢痛はひどく長引かないのでわりとすっきり治る事が多いのです。これは感謝される事が多いですかね。だからLCSの人は、外来で治らない人を手術すれば良いと考えると、全部の中の10%くらいの人が真性のLCSなんじゃないかなとか。それでも部位間違えとかも入ってると思うので、手術になる人ってもっと実際は低いですね。

 あとはどうやったらもっと感謝されるかとかも考えてますが、僕はわりと外来でわからないようにそれとなく治してたりするので、逆にこういう方法が外来が増えずに混まないポイントなんじゃないかと思ってきました。患者さんの通院量減らして楽して外来楽々ちんですね!

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腰椎椎間板ヘルニアQ&A書いてみました!

なんかネットで相談される事も多いので、一応書いておきます。

腰椎椎間板ヘルニアQ&A

 ヘルニアって言うと、腰椎椎間板ヘルニアのことをさす事が多いですが、ヘルニアって単に突出してたり飛び出ている事の事なので、何が出ているの?ということですよね!でてくるものは腰椎の間のクッションである椎間板が飛び出て、神経を圧迫して下肢痛などを起こす病態を腰椎椎間板ヘルニアと言います。(腸が出てくれば腸ヘルニア、筋がでてくれば、筋ヘルニアです。)ただ、椎間板が多少突出しているくらいはさほど珍しくは無く、普通に腰椎MRIをとれば普通にヘルニアが多少出ている人はかなり多いのですが、それが下肢の痛みと関係あるかという事を身体診察等を駆使して判断します。つまり身体診察と画像検査のセットで腰椎椎間板ヘルニアは診断するわけですよね!画像だけしか見ない先生は臨床上有益な診断はしっかりできないかもしれません。ただ画像を見るのも技術が必要で、診断が困難なヘルニアや姿勢によって異なるような病態も存在する為、背景知識も重要になるので経験が重要な部分でもあります。

Q1:先生、腰痛が治らず、椎間板ヘルニアはどうしたら治るのでしょうか?

A1:腰痛がおこることありますが、腰椎椎間板ヘルニアで腰痛はあまり説明できない事も多いのです。椎間関節や椎間板性の腰痛はあると言われていますが、原因としては筋膜性の腰痛の頻度が圧倒的に多く、まずはこの鑑別の為の身体診察がたいへん重要になります。

Q2:ヘルニアと言われてとても痛いのですが、すぐ手術した方が良いのでしょうか?
A2:腰椎椎間板ヘルニアは、そのまま何もしなくても80%は症状が改善すると言われています。ただ、下肢が動かない、膀胱直腸障害と言って排尿や排便の障害がある時は、すぐに手術を考慮するケースになる為、早期に整形外科にかかった方が良いでしょう。多くの場合強力な痛み止めを飲む事である程度普通に生活はできるようになります。

Q3:昨日ヘルニアと言われて薬を貰ったんですが、全然効かないのです。どうしたらいいのでしょうか。
Q3:そうですね、ブロック注射などでもすぐに症状が消失する場合もあります。リスクの兼ね合いもありますが、高度な糖尿病がない限り、痛みが酷い場合は整形外科でもブロック注射や、さらに強い薬を処方してもらう事で対応できる事がほとんどです。ただ、あまりに痛みが強い場合は手術治療を早期に考慮する場合もあるので、整形外科の先生と相談する部分かと思います。

Q4:痛みが治ると思って2ヶ月仕事を休んでいますが、一向に良くなりません。このまま治らないのでしょうか。
A4:どういう治療をされているかわかりませんが、一般的には3ヶ月以上痛みが続いて日常生活に支障が出ている場合は手術を考慮します。リスクもありますが、人生の長い期間を痛みとともに生きる事は人生としてどうでしょうか。痛みを伴う人生もリスクでもあると思うので、いろんな治療にトライしてそれでもダメなら手術療法を考慮しても良いかと思います。

Q5:先生のおかげで痛みがだいぶ楽になりました。もしかしてクセになるって言う事もあるんでしょうか。
A5:病態を考えると、腰椎の間のクッションが既にイカレてしまっていたわけで、まだ椎間板が残っている場合は再発する場合があります。また、椎間の機能が1つ失われるという事は、他の椎間板も機能不全を起こしている可能性があり、他の場所でまたヘルニアが起きる可能性もあります。手術療法では同部位で再発を起こさないように固定術を併用するケースもありますが、固定が短くとも他の椎間にストレスをかけることになり、他の部位に再度ヘルニアが起きてしまうケースもあります。手術をする先生と治療についてよくお話をして、今後残った人生を自分の体とどう生きるのか、自分で向き合う良い機会だと考えて下さい。

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下肢痺れについて、質問の答え。脊柱管狭窄症の可能性もありますね!

以前に下肢の痺れについて質問を受けたことがあったので、
とりあえず脊柱管狭窄症について再掲させていただきます。

脊柱管狭窄Q&A 脊柱管狭窄について整形外科医が答えます!

http://www.orthopedic.jp/archives/52039243.html

臀部痛だったら、ルートによる症状の可能性がありますけどね!


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TOS:胸郭出口症候群ってみたことありますか?僕は最近見なくなりました。。

今日はたまたまTOS:胸郭出口症候群を思い出したので、記事を書いてみることにしました。

 だいたいは、手の痺れが時々あったりするような人で、レントゲンは異常ありません、MRIは異常ありません、神経学的にも異常ありません的な人が診断されていく印象があります。

 疾患定義的にはwrightテストとか、姿勢や体位などによって誘発する血管の拍動低下なんかが確か診断には必須で定義されていましたが、別にそういうのあってもなくても、そういう疾患群としてゴミ箱的診断を下されている印象がある疾患です。現在はMRアンギオまでやるんですか。。
 教科書的には治療は、リハビリ>手術ということで、この疾患の専門の手術をする先生までいるということになってます。。

 保存療法のハンドリングが未熟だったときには、この診断を下してよくOT,PTに理学療法を指示していました。リハはリハで、また非常に苦労してリハビリをしてもらってました。。姿勢指導、脊柱ROM指導などですね。。
 現在は、こういう人にさっぱりみかけなくなりました。そうですね、ここ5年間整形外科外来で、こういう人に出会っていないのです。以前ならば月に2-3人はこういう人に出会っていたのです。外来患者数自体も変わらないので、私が診察スタイルをがらっと変えてしまったのが原因だと思うのですが、こんな人たちに出会わなくなったのです。

 今では、こういうような画像的に問題なさそうな人は、多くのケースでその場で症状を軽快させることができますので、こういった手術適応にならない患者さんたちはあまり問題にならなくなりました。外科医としてはこういう人をうまく扱うことが果たしてどれだけ意味があるかはわかりませんが、治らない患者を抱えるストレスは格段に減りました。

 もちろん整形外科医としては整形外科的に手術患者さんだけをピックアップしていればよく、手術適応でない人は無視と決めてかかってもいいとは思います。手術対象にならない患者さんを診療するのはやっぱり外科医としては外来時間の無駄ですし、リソースの無駄ですし、外科医としての本文も理解しているつもりですが、患者さんはやっぱり手術如何にかかわらず、治療を希望してこられている以上、手術適応でない人もそれなりに大事に見た方がいいのかなと思っています。

 私が知らないだけで本当にこの稀な疾患の場合もあると思うので、いろいろご指導よろしくお願いいたします。

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マンガeせいけい 第一話 ”整形外科としびれ”:しびれに結構効く薬が登場?

 整形外科的blogでは、blog内容の漫画化を行うことにしました。
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イラストレーターの先生方にお願いしながら試行錯誤で進めていきます。

 記念すべき第1回は”整形外科としびれ”についてみたらし先生にお願いしました。
http://i2t.pya.jp/
みたらし先生!Cuteな絵柄ありがとうございました!

みなさまの応援ですが、どんな形でも叱咤・激励をよろしくお願いいたします。

以下漫画になります!!

漫画(P1)021a

jpg

整形外科としびれ、そしてリリカ(プレガバリン)ですが、前述した通り
http://www.orthopedic.jp/archives/52001278.html
副作用もあまり重大なものがなくよく効く薬ですね。

しびれ、なかなかよくわからないことも多いですが、知覚障害が明らかになくてもしびれ、痛みがあれば整形外科的な異常があることも多いですね。

MRIを多用する病院で研修したせいか、結構MRIを多用する癖がついてしまい、身体診察をおざなりにしないように気をつけています。結構症状はたいしたことないのにMRIで異常があることや、またその逆もあるので、身体診察が重要だと思うこともありますし、やっぱりMRIだなと思うこともあります。両方の所見が重要です。

診断にしろ治療成績にしろ、整形外科的な標準医療をまず目指すのがなかなか難しいので、”標準治療をとりあえず知る+目指す”というのが重要なのかなと思っております。

まぁあとはマンガでも書いていますが、薬の処方など細かいことにも気をつけていきましょうね!
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マンガのバックナンバーはこちら!
http://wiki.orthopedic.jp/d/e-seikei




私のしびれ、それじゃぁどうしたら治るんですか?その1

私のしびれ、それじゃぁどうしたら治るんですか?その1

1、しびれってそもそもなんですか?
しびれですねー。難しいですね。しびれは神経が障害を受けたり、筋肉が障害を受けてその放散痛として感じたり、関節の違和感をしびれと表現したり、たんに疲れやすいことをしびれと称したり、患者さんはいろいろな症状をしびれと感じて外来を受診します。ですから、”しびれ”というだけでは、何のことだかよくわかりません。私達整形外科医は通常感覚障害をしびれとしてとらえて、触覚、痛覚、冷温覚、振動覚、などをチェックします。ですからなんでもない患者さんが多いわけですから、ここには確実に患者さんとのしびれに関する認識の乖離が生じていると思います。

2、感覚障害がない場合どうするのですか?
 ”肘の外側がしびれた感じがするんです。”というような感覚異常がないしびれというのは実は案外多くって、整形外科医はともするとしびれについてすべてMRIをとったりしてから”何もありませんね。”などと済ます人もいますが、たいていこういう不定愁訴に似たしびれは運動療法で改善することがほとんどかと思われます。
 それでもやはり変な違和感があると言って局所に問題が有る場合もあるので、局所の診察>全体の診察という流れは私は基本だとは思います。ここらへんは施設や上司によって、教育や方針が異なるのでなかなか難しい問題ですね。

3、感覚障害がある場合どうするのですか?
 これこそが整形外科医の出番です。ここからが私達整形外科医のフィールドです。ですが、それ以外のかなり多くの患者さんを”薬処方しておきますね。”の一言で整形外科医は切っていることに気がつくべきです。ですが、ここからは言い訳にもなりますが、整形外科的なしびれの治療も結構難渋するので整形外科医はそこまでリソースが足りていない。というのが実情かと思います。
 本来ならば接骨院とけんかばかりしていないで、お互いの縄張りを決めて、検査や手術が必要な場合とそうでない場合を住み分ければいいのですが、多くは住み分けがしっかりしておらず、”整形外科に行ったって、レントゲンばかりとって症状は治りませんよ。”とか”接骨院にっても変なマッサージをされてよけい悪化してしまうだけだよ。”など言いあい、患者さんは的外れな指導を受けた挙句、複数の医療機関を回ってしまって時間とお金をロスする人の多いこと多いこと、、このさまよえる整形外科難民をなんとか減らせないかトライしていきます。

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腰部脊柱管狭窄症Q&A 整形外科医が答えます。  その1

腰部脊柱管狭窄症について

Q:どういう病気ですか?

A:腰部脊柱管狭窄症は、少しあるくと足がしびれて動かなくなるような症状(間歇爬行)や、腰を伸ばすと足に痛みが走るような症状を主にする疾患です。

Q:どういう検査をするの?

A:腰部MRIにて腰の骨の後ろを通っている神経の管(腰部脊柱)に狭窄を認めます。単純レントゲンにて腰の骨が前後にずれている腰椎すべり症や、腰の骨と骨の間のクッションが変性している腰椎椎間板症による不安定性や、脊椎側弯症が合併している場合があります。腰部MRIで脊柱管に明らかな狭窄を認めなくても、撮影条件によっては症状を認める場合もあり、ミエログラフィー検査にて診断される場合もあります。下肢へ行く動脈が詰まってしまう閉塞性動脈硬化症との鑑別のためにABIという検査をする場合もあります。

Q:治療はなにがいいのですか?

A:一般的に治療は難しいです。整形外科におけるの保存治療のラダーは、1、運動療法、2、薬物治療(プロスタンジン製剤内服・注射、他内服治療) 3、ブロック治療(EDB:仙骨硬膜外ブロック)となっています。手術手段としては、除圧手術だけでは対応できない場合もあり脊椎後方固定が選択される場合もあります。

Q:どういう場合に手術が必要ですか?

A:どうしても必要な場合は、痛くて動けない場合、ほとんど歩けない、など日常生活が上手におくれない場合は手術を考えます。とくに下肢の筋力が低下している、膀胱直腸障害がある場合は早期に手術をしないと治癒の可能性は下がります。

Q:手術しない方法はありますか?

A:下肢が麻痺したり膀胱直腸障害がある場合は手術しないと治らないでしょう。ただ、下肢筋力低下があっても軽度な場合、まだ歩ける場合など、手術適応が難しい方がほとんどです。ですから、その人の生活状況に合わせて手術や保存療法を計画するようにしています。

Q:プールはどうしていいのですか?

A:何が起きているかというと、動けない、日常生活が上手におくれないと、徐々に体力がなくなり、体もかたくなってきます。体が硬くなることで、思うように体がさらに動かせなくなり、運動と体力の負の悪循環に陥ってしまいます。外来に来る時点でこの悪循環に陥ってる人がほとんどです。ここから抜け出すには腰部脊柱管狭窄症を悪化させず、体の機能を保てる運動療法が必要です。腰部脊柱管狭窄症の患者さんは歩くと症状が悪くなりあまり歩けない方が多いのですが、プール歩行だと症状が起きない方が多いのです。腰椎すべり症や腰椎椎間板症を合併している方も多く、負荷がかかる運動では腰痛が悪化することもある為、重力の影響を低くできるプールでの運動療法を薦めています。

今後ともよろしくお願いいたします。

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今日の整形内科的患者さん達 その1 ヘルニアは即手術してますか?

皆さん初診は再来の合間に見てますか?半日外来で新患12人を一般外来しながら診療するのはややキビシメでした。外来は週に2コマから3コマですが、外来多めですか?

覚えている中で抜粋していきます。

1、70代女性両膝痛、間欠爬行あり(4000歩は一日歩けるとのこと。)、単純レントゲンでは膝は両側内側のOA、腰椎、L4/5不安定性。腰部MRIではL4/5 L5/SにてStenosis+。膝が痛いのか腰が問題なのか、一番わかりやすい検査は?
>膝筋膜リリース(関節注射でもいいかもしれませんね。) 施行した右だけ痛みが良くなって帰宅しました。残念ながら現段階では膝も腰も手術はあまり必要ないかなぁ。膝の機能障害でしょう。

2、肩こり+左肩の痛みを訴える20代女性 一般診察所見ではとくに問題なし、単純レントゲンは問題ないがいわゆるストレートネックっぽい。どういうように治療アプローチしていますか?
>一つ一つの椎体の痛みと動きを評価してから関節Mobi.にて症状消失させて帰宅。運動不足ですよー!

3、10代男性 3年越しの左殿部痛。 身体診察でLDH(腰椎椎間板ヘルニア)疑い。MRIでLDH確認。10代の手術はあんまりしたくないんだけどなぁ。みなさんやっぱりすぐ手術してます?

4、50代男性 左大腿下腿の痛み。身体診察で問題なし。単純レントゲンでL4/5 L5/S不安定性、MRIにてL4/5外側ヘルニア? とりあえず診断の為のNRBですか?それともEDBでお茶を濁す?

5、腰痛の70代の男性 話をよく聞くと、左肩のほうが痛い? じゃぁ最初に問診表にそう書いて下さいよ。。左肩の痛みは頚椎の関節Mobi.で消失させて、NSAIDsだして帰宅。腰痛はまた次回☆とりあえず運動しましょうね☆

というように、診療をしています。大概の人は診察だけで症状を改善させられるようになったけど、やっぱり診察補助してくれるPTなり柔道整復師がいたら激助かりますー。誰か手伝ってくださーい!!

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整形外科医としての壁 その3 :整形内科学 整形外科外来

 整形外科医として一般的な仕事が処理できるようになると、困ることも増えてきます。整形外科的にルーチンな対応では対処できない患者さんは結構多いのです。業界的には医師の思うとおり治療のうまく行かない人を”プシコ”扱いして外来から追い払う医師もいます。もちろん時に治療は難しいのですが、ここは整形外科医としての分岐点なのかなと思います。患者さんの言うことをよくよく注意深く聞いているとわりとその通りの病態なこともあります。むしろどうして他の病院でこの病気を見つけて上げられないんだろう。と思うことのほうが多いくらいです。いろいろな先生がいる中でどういう態度で患者さんと接するのが理想なんだろうと私は悩んだ時期がありました。

 私がお会いした中で一番診療が丁寧だった先生は大学名誉教授のI先生です。I先生は手の外科の専門外来をしていらっしゃるのですが、イラストの多い教科書を携えて、ご自分で絵を書いて患者さんに説明をします。説明のしかたも”私はこう考えます。”というようにあくまで主体的にお話をされるのでとても好感をもてます。整形外科の診療に行きずまったり、外来スタイルで悩んだときはI先生の外来に見学に行くと、きちんとした整形外科医としてのロールモデルを見ることができると思います。

 そして私が外来で困っていたテーマは交通事故後の患者さんたちでした。レントゲンでは異常ありません。MRIでも異常ありません。でも痛い人、困っている人がとても多いのです。痛み止めも湿布もあまり効きません。そうです。私も以前はリハビリで電気を流す治療をしていればよくなるんだと信じていました。でも1年たってもよくならない人がほとんどでした。いつまでも痛みを訴える人々を前にしてもちろん”プシコ”とレッテルを貼ったり”疾病利得”な悪い人たちと一刀両断することも可能です。でも、どこかに治療法があるだろうと思っていたのです。
 変化のきっかけはちょっとしたことでした。ちょうど異動で休みが取れた時期にたまたま友人からの紹介で保存療法の専門の整形外科医の先生の外来を見学に行きました。東京で開業されているM先生です。M先生は保存療法を保険医療で成立させているとてもすばらしい”稀有な”先生です。M先生の指導のおかげで、交通事故はもとより、保存療法でもあまり困ることがなくなりました。

 壁というのはもちろん自分で経験したり、自分で考えないとクリアできないものだと思いますが、壁を感じていろいろ努力する過程で成長していくのだと考えています。指導していただいた先生達に本当に感謝しています。

・レジデント向けお薦め教科書レビューはこちらから。
・専門医受験対策書籍レビューはこちらから

痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR

痛みの難民が発生する理由:診断のシステムエラー 第一部: いわゆるペインクリニックについて


↑保存療法で有名な先生は少数かと思います。

痛みの難民が発生する理由:システムエラー 第一部: いわゆるペインクリニックについて

 治療可能な痛みの原因が見つからない人で、痛みの程度が強い人は、最終的にペインクリニックに紹介することとなります。
 ペインクリニックの位置づけは、”本当に何もできなくなった人たちに対して痛みだけとる治療をする。”といった位置づけなんだけれど、この分野はしっかりと分野として確立していない印象があります。
 なぜ”確立できていないと言えるのか”というと、一人の整形外科医が判断して直せないと踏んでも、実は直せる痛みがたくさんあるからなのです。整形外科疾患は部位ごとに専門性も高く、そしてお互い関連しあっているのでなかなかやっかいです。あまりに必要な知識量が多すぎて整形外科の知識を吸収するだけでも整形外科医はおなかいっぱいになります。痛みの診断は時にとても難しい場合があります。痛みの治療について整形外科医同士でも異なる意見を持っている場合がほとんどでしょう。
 そしてその”痛みの診断”をするトレーニングやら技術やらをペインクリニックの専門家である麻酔科医の先生はノウハウとして上手に持っているとは実は言いがたいのです。たいていのペインクリニックの先生は紹介状を基に治療を開始して、自分での診断を避ける傾向にあります。麻酔科の先生なので、保存療法のトレーニングまで時間がなくてできないことが正直な部分かと思います。言いえて言えば、ペインクリニックの先生は痛みの治療の専門家であって、痛みの診断の専門家ではないことが多いです。

(これはあくまで個人的にまわった3つの大学病院で感じたことです。まず整形外科の保存療法に長け、整形外科の手術療法にも精通し、多種多様なブロックの手技ができるペインクリニックの先生。どなたかご存知ですか?かなり少数ですよね。)

つまり
・整形外科医は手術適用になる患者に興味があり、手術対象でない患者にはあまり興味がない。(ことが多い。)
・接骨院では手術できないので、柔整は手術療法には知識も興味もなく、保存療法にしか興味がない。(ことが多い。)
・リハビリ医は自分で診断を放棄して整形外科医の指示の基に動く。(ことが多い。)
・ペインクリニックでは診断をしない。(ことが多い。)

”痛みの診断自体できる人が少数で、痛みの治療がどう進むのか?”という問題です。

 システムエラーなんだと思うんだけどな。優秀な整形内科医や手術適応が決めれるプライマリーのリハビリ医がいないっていうことは。

 どこぞの大学講座に、整形内科を独立させるか、リハビリ科がプライマリーphysician始めるかしないとこの問題は解決しない気もします。もちろん、柔整に整形外科研修を必修にさせるとか、リハビリ医に手術必修にするとか、麻酔科医が整形外科を必修にするとか、教育プログラムの変更で対応できると思いますが、このような対応をしている医局はありますか?

 自分の診断能力が低いとかリハビリ医や麻酔科医や整形外科医が医局として認めるとは到底思わないから、この問題は絶対解決しないので、今後も迷える患者さんたち、間違って手術されちゃったりする患者さんがあとを絶たないのだと思います。

しびれに結構画期的な薬が登場。リリカ(プレガバリン)はノイロトロピン、メチコバールの牙城を食い尽くすかどうか。

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